『しゃばけ』(23/100)

はてな年間100冊読書クラブ参加をきっかけに、これまであまり読まなかったような本も手に取ってみようと決意。で、「本屋大賞2005」の書店員さんのコメント*1に惹かれて借りてみたのがこれ。
妖怪ものは好きではないし、タイトルも装丁も、今までの私なら絶対に手を出さない(というか、好みじゃないので目にとまらない)タイプの本。でも、これがすっかり気に入ってしまったよ。読書の醍醐味だねぇ。読了日は2/16。

しゃばけ

しゃばけ

廻船問屋兼薬種問屋の若だんな・一太郎は、しょちゅう寝込んでいる虚弱体質。両親に甘やかされ、祖父が連れてきた妖(あやかし)である手代2人に厳重に守られて暮らしていた。ある夜、家の者に内緒で外出した一太郎は、血の臭いがする男に追いかけられたうえ、不審な死体を発見する。これを皮切りに起こった薬種問屋の連続殺人事件に、一太郎も巻き込まれてしまうのだが……。


こっそり夜歩きした若だんなが、手代の佐助・仁吉にお小言を喰らう場面で、一気に物語に引き込まれた。若だんながちょっとため息をついただけで「具合が悪いんじゃないですか」と過剰に心配する手代や両親の甘甘ぶりが、とにかくコミカルでほのぼの。で、若だんなも愛されて育ったせいか心やさしくて、それでいて意志の強い一面もある。しかもひ弱な自分を「このままじゃいけない」と歯がゆく思っている辺りにも心をくすぐられた。
体が弱くて出歩けない若だんなの代わりに妖たちが情報を集め、若だんなが事件の謎を解いていく展開で、江戸人情もの+ファンタジー+謎解き少々って感じ? 個性的な妖がたくさん出てくるけれど、全然おどろおどろしさがなく、皆和菓子が大好物(笑)だったりして、なかなかキュート。私と同じように「妖怪が出てくる話はちょっと……」と思ってる人でも全然イケるはず。
とにかく面白かった。早く続編を、続編をくれ。

*1:他にも目をつけてる本あり。でも本屋大賞って、書店員さんが熱く推薦しなくても、充分売れてるような本が結構多い気がするのは気のせい?