『ぬしさまへ』(24/100)

……という訳で、早速続けてこれを手に取った。二宮金次郎状態で一気に読了。
しゃばけ』と2冊一緒に借りてきて、あやうくこちらを先に読むところだった……本屋大賞2005に載ってたのは本書の方だったので。もしも「お、読んでみようかな」って方がいらしたら、お気をつけください。『しゃばけ』冒頭では伏せられてるネタが使われてたりするので。

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2

日本橋の大店のひとり息子・一太郎は、大熱を出したり夏バテになったりと、何かにつけて寝込む日々を送っていた。兄のように寄り添う妖(あやかし)の佐助と仁吉や、甘い甘い両親の過保護ぶりは相変わらず。そんななか、仁吉に付文を渡した娘が殺されたり、新調した布団から泣き声が聞こえたりと、若だんなの周りでおかしな事件が頻発する。


シリーズ2作目にあたる短編集。人間・妖問わず、このシリーズの登場人物たちのキャラ立ちが見事なことを改めて実感。若だんなの虚弱っぷりにはますます磨きがかかり、大真面目なのに何処かズレている妖たちはユーモラス。その他幼なじみで和菓子屋の跡取り息子の栄吉、岡っ引の清七、誰を主役にしても話が成立しそうだもの。
6編のうち一番気に入ったのは、仁吉の1000年以上(!)にわたる片想いを描いた『仁吉の思い人』。私は妖の中では男前の仁吉がお気に入りなのだけど、せつないねぇ……。「この問題、これからどうなるんだろう?」と思わせた前作のラストから続く『空のビードロ』もいい。若だんなに対する周りの過剰な甘やかしぶりを楽しんでいる私は、『虹を見し事』を読んでいて、若だんな同様不安を覚えたよ。
それでも病気がちであることに甘えようとせず、大店の跡取りの自覚を強めつつある若だんなの今後の成長に期待。