『嗤う闇』(30/100)

読書の時間はできる限り確保するようにしているのだけど、感想を書くのが追いつかず。
読了日は3/7。

嗤う闇 (新潮エンターテインメント倶楽部)

嗤う闇 (新潮エンターテインメント倶楽部)

巡査部長昇進に伴って、隅田川東署に異動した音道貴子。新しい勤務地は、マンションやビルなど無機的な街並みと入り組んだ住宅密集地とが混在し、排気ガスに覆われた下町だった。貴子は研修中のお坊ちゃん警部補らとともに、アパート大家殺人未遂事件、女性5人家族に対するストーカー事件、連続レイプ事件などの捜査にあたる。


『凍える牙』『花散る頃の殺人』『鎖』『未練』に続く、女刑事・音道貴子シリーズ5作目。このシリーズは久々に読んだのだけど、旧態然とした男社会である警察内で、肩肘を張って生きていく貴子の硬質な雰囲気が好きだったりする(同世代だし)。
4本の短編からなる本書で描かれているのは、小さな事件ばかり。でも、どれも女性絡み、かつ下町の生活環境が引き起こしたものという感じなのが興味深かった。
特に、『凍える牙』以来の腐れ縁(?)滝沢の家庭問題に貴子がつき合わされる『木綿の部屋』が印象深い。凄腕だけどガサツなベテラン刑事・滝沢の、新たな一面を見たような気がする。滝沢さん、女刑事呼ばわりしつつも、やっぱり貴子のことを買ってるんだなぁ。
「ひとりになるのも嫌だけど、面倒を抱え込むのも嫌」同士の恋人・昴一との今後の進展が気になるところ。


乃南さんの本って、街並みや家、部屋などの描写がリアリティに富んでるな〜と改めて思った。「通信販売の安売り家具が一通り並んでいるような雰囲気の部屋」とか、なんか目に浮かぶようだ。