『イニシエーション・ラブ』(35/100)

本屋大賞2005」で「ラストのどんでん返しにあっと驚かされる」というコメントを読んで、どんなもんかと借りてみた本。

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

女の子とつき合ったことのない「僕」は、大学の友人に誘われて出席した合コンで、マユという女の子に恋をする。やがて、毎週金曜日にふたりはデートをするようになり、マユの提案で「僕」は「たっくん」と呼ばれることに。初体験を済ませ、ホテルでクリスマスイヴを過ごし、ふたりの仲は順調に進展していく。
「僕」は大企業を蹴って地元・静岡の会社に就職するが、東京へ転勤することになる。週に1回静岡に帰り、マユとの遠距離恋愛を続けていたが、魅力的な同僚・石丸さんの存在が気になり始めるように……。


「side-A」と「side-B」の2編に分かれていて、各章のタイトルには「君は1000%」とか「SHOW ME」とか、80年代のヒット曲名が冠されている。そしてBOOWYのアルバム、「男女7人夏物語」など、80年代半ばの流行りものが各所にちりばめられていて、ちょっと懐かしい感じがした。

で、その80年代半ばの静岡を舞台に、大学4年生の「僕」こと鈴木くんのマユとの出会い、少しずつ深まっていくふたりの関係、思いがけない遠距離恋愛ふたりの女性の間で揺れ動く気持ち、遠恋がだんだんダメになっていく様子などが延々と書かれていて、正直、読んでいて面白くはなかった。よくある話って感じだし。
どんでん返しの気配なんてなさげじゃん、もう読み終わっちゃうよこれ、というところまで来たラスト2行。「!?」となり、あわてて最初の方まで戻ったり、ところどころ読み返したりして、「うーん、やられた……」と思った。
以下、超ネタバレなので折りたたみ。























とりあえずマユ、あんたやり手だねぇ。
どんでん返しがあると知ってたから注意深く読んでいたつもりで、確かにところどころ「ん?」と感じたところはあったんだけどなぁ(たっくんの部屋の描写、2人で本屋さんに行った時のたっくんの行動、たっくんの性格の変わり様とか)。それよりも「突発性難聴」や堕胎に何か秘密があるんじゃないか?とか深読みしすぎちゃったよ。本当に巧みに伏線が張り巡らされていて、「男女7人秋物語」が重要なキーワードだとは夢にも思わなかった。
真相が全て判った後、114ページ7-8行目のマユの台詞を改めて読むと……怖い、怖すぎる。