東松山のやきとり

埼玉の東松山は、味噌だれをつけて食べる「やきとり」が名物だと知ったのは2〜3年前のこと。知り合いが取材に行ったとかで、話を聞いて以来、現地で食べてみたいな〜とずっと思っていた。
やきとりといっても、鶏肉ではなく豚肉。それもカシラ肉がメインらしい。そして味噌だれは、味噌に唐辛子やニンニクがたっぷり混ぜ込んであって赤い。埼玉県内のSAで売られていた瓶入りの味噌だれを食べたことがあるけど、コチュジャンをもう少し辛くしたような感じでウマウマ。肉だけでなく、きゅうりにつけて食べても美味だった。

先日、さいしんカップで熊谷に行った帰り、東松山に回ってやきとりを食べることにした。熊谷からバスで国道を南下する手もあるようだけど、秩父鉄道というのに乗ってみたかったので、それで寄居まで出て東武東上線に乗り換えて東松山へ(遠回りになるせいか、隣接してる市同士なのに1時間くらいかかった)。秩父鉄道は、未だに切符の裏が白いし、ホームの佇まいなんかが昔懐かしい雰囲気で楽しめた。寄居に近づくにつれて、どんどん観光地っぽいというか、「THE 秩父」って感じになっていく。秩父行ったことないしなー。

東松山駅で降りて、商店街っぽい通りに行ってみたら、やきとり屋さんが何軒かあった。事前にお店の目星などはつけてなかったので、適当な1軒に入ってみた。正直、衛生状態はあまりよろしくなさげな感じ……ぶっちゃけすごく汚い。個人的には味が美味しければノープロブレムというか、あまり小綺麗な店より汚い方が美味しかったりするのかな、と思ったのだった。先客は地元の常連客らしいおじさんが2人。壁に「東松山焼鳥店組合会員証」と「紀州備長炭使用店」の煤けた木札がかかっていた。
このお店のやきとりは、カシラ、ナンコツ、タン、ハツ、レバー、ツクネの6種類で、どれも1本100円。とりあえずカシラを3本ずつと、彼はビール、私はウーロン茶を注文*1。しばらくして、肉とネギが交互に刺された串がポンポンと皿にのせられた。かなり焼きは強めで、表面は焦げている。件の味噌だれはカウンターに置かれていて、おばちゃんに「直接肉に塗っちゃってねー、その方が食べやすいから」と言われたので、刷毛でペタペタ塗ってみた。実はそう言われる寸前に、お皿にのせちゃってたけど。

んんー、豚のカシラ肉って、思ったよりやわらかいんだねぇ。写真はイマイチだけど、実物はうまいぞっ!(←クッキングパパ風) 何よりも味噌だれの味付けが私の舌に実に合う。あっという間に3本食べてしまい、ナンコツやタン、ハツを追加。ナンコツは場所によってコリコリしたりクニュクニュしたりと面白い食感。タンとハツはごっちゃに来たので区別できず……「どっちも美味しい」としか。2人で8本ずつくらい食べた。途中でもろきゅうやトマトを挟んで口をさっぱりさせれば、あと2〜3本はイケたかもしれぬ。
彼はレバーを食べたかったみたいだけど、「あ、今日もう終わり」とのこと。ツクネも。後から来たお客さんは「タンが1本残ってるね。あとカシラが3本かな」と言われていて、えっ、まだ19:00過ぎなのに!?……と思ったけど、夕方頃が一番混む時間帯で、「夜飲むための店」というスタンスではないのかも。
自家製味噌だれのテイクアウトがあったけど、この後会社に行かなくちゃならなかったので(涙)買わなかった。


豚なのに焼き鳥とはこれいかに。「戦後の食糧不足の折、鶏の代用品として豚のカシラ肉を使ったのが由来、とかかなぁ」と話してたんだけど、東松山市のHPを見たら、あながち大外れではないみたいだ。

東松山市公式ホームページ 名物やきとり
http://www.city.higashimatsuyama.saitama.jp/out/yakitori/yakitori.htm

*1:何処かのサイトで「何も言わなければカシラだけがどんどん出てくるのが東松山流」と書かれているのを読んだけど、ここはそういう方式ではなかった