清く正しく美しすぎる先生(9/100)

続けて読んだのがこれ。1/6に読了。

伴先生 (吉屋信子乙女小説コレクション)

伴先生 (吉屋信子乙女小説コレクション)

女手ひとつで育ててくれた母を亡くし、地方の女子校に教師として赴任した三千代が辿る波乱に満ちた運命。

三千代があまりにも清廉潔白すぎて、何だかピンと来なかった。『わすれなぐさ』みたいに、主人公が自分の置かれた状況に反発したりとか、後ろめたい行動を取ってみたりとか、そういう「負」な部分がないと感情移入できないのかも。その点、学校経営よりも金鉱に興味がある校長先生、実業家なのに庭掃きが好きな間島氏といった中年男性の登場人物の方に魅力を感じた。
それと、嶽本野ばら氏が解説で書かれているように、ご都合主義的なストーリー展開なのも気になったかな。全てがあまりにも上手く行き過ぎるというか……「世の中に悪い人はいない」という作者の考えによるものなんだろうか。
本書にも野ばら氏の細かい細かい注釈がつけられていて、こちらはかなり役に立った。着物の種類や着方が人物像を表しているそうで、「なるほど…」と感心させられることしきり。