パリの重箱の隅だけをつつくと(11/100)

ほかの本と併読していた。

パリ 歩けば…… 100日の散歩で見つけたもの

パリ 歩けば…… 100日の散歩で見つけたもの

著者の林丈ニ氏は「路上観察学会」の一員で、マンホールの蓋の写真集を出したこともある人。かなり昔の『BRUTUS』コレクター特集では、駅の切符の切り屑(若者は知らないだろうなぁ)や牛乳瓶の蓋、海外旅行先で靴底に付いた小石など*1を収集・分類したものが紹介されていた。
そんな林氏がパリを歩くと、やっぱり街の風景そのものよりも、風景を構成する「部品」に注目するんだなぁと感心させられたのが本書。パリの重箱の隅をつついたようなというか、重箱の隅だけをつついたような写真集&エッセイ。
屋根の先端、鍵穴の装飾、プラスチックの偽木、ショーウィンドウ、小さな標識、工事現場、豆自動車、路上に置き去りにされた粗大ごみ、路上に撒かれた水の跡……。本書に載っているのは、パリっ子に「何でそんなもん撮ってるの?」と思われそうなものばかり。でもテーマごとに集めると、デザインの違いなどがよく判って面白い。
エッフェル塔を真正面からではなく、裏通りの建物と建物の間から「ここからもエッフェル塔が見えるんだ!」と垣間見る。こんな旅も楽しいだろうなぁ。

*1:小瓶に小石が詰められ「90年10月パリ」とかラベルが貼られていた気がする