『漁師さんの秘伝料理』(42/100)

漁師さんの秘伝料理 (徳間文庫)

漁師さんの秘伝料理 (徳間文庫)


北海道から九州まであちこちの漁師町を訪ね歩き、漁師さんや民宿のご主人らから、その土地独特の漁の方法、魚介の料理法を聞き書きした「くいしん坊!万才」的な1冊。
魚介の一番美味しい食べ方を知っているのは漁師さん。そして、とれとれの魚介がそのまま口に入るということもあって、お刺身、焼くだけ、煮るだけなどシンプルな食べ方中心。浜辺で焚火をおこしてとか、塩気は海水でとか、豪快な調理法が多いのも漁師さんならではだと思った。それと、タコひとつ取っても、地方によって獲り方やゆで方が違うのが面白い。
私はもともと魚がそれほど好きではなく、白身魚のお刺身を食べられるようになったのがほんの数年前だったりするのだけど、それでも読んでいて「あー、新鮮な魚を食べたい!」と思ってしまうような吸引力があった。逆にエビカニタコ貝海藻は大好きなので、それらをふんだんに使った料理の数々には、よだれをこらえることしばしば。
特に惹かれたのは、天然の塩気だけで食べる毛ガニ、アサリの刺身、焚火で焼き、海水でバシャバシャ洗ってほおばるアワビ、ホッキのしゃぶしゃぶ、身も肝も洗わずに作るスルメイカの塩辛(とれたてだからできる)、天然クルマエビの姿造り、タコの天ぷら、熱いごはんにのっけてかきこむ生シラス、生ウニに塩をまぶしただけの塩辛、ゴマじょうゆだれにマダイを漬け込んだタイ茶漬け、ホッキ、ホタテ、タコ、ウニ、シロエビなど各種の炊き込みごはん。あーもう、こうして書いてるだけでたまらん。
10年ちょっと前に書かれた本なので、ここに登場した漁師町では、今でも当時と同じように海の幸に恵まれているのだろうか、ということだけがちょっと気になった。