『趣味は読書。』(63/100)

読了日は6/26。

趣味は読書。

趣味は読書。

自分の周りにはベストセラー本を読んでいる人がほとんどいない。それどころか「読みたくない」「読まなくても判る」「読むに値しない」と斬り捨てる人ばかり。では一体、誰がベストセラーを読んでいるのか? あのベストセラーはどんな内容で、どういう風に受け止められているのか?……おそらく「(仕事以外では)ベストセラーを読まない読書人」に属する著者が、辛辣かつ斜めな視点から分析・考察した本。


俎上にあげられているのは、99〜02年のベストセラー43冊。『日本語練習帳』『子どもにウケる科学手品77』『鉄道員』『プラトニック・セックス』『買ってはいけない』『LOVE論』『海辺のカフカ』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『だから、あなたも生きぬいて』などなど。……うーむ、見覚えのある書名ばかりだけど、私が実際に読んだことがあるのって、人にすすめられた『五体不満足』と、魔がさして買ってしまった『「みにくいあひるの子』だった私』(恥)の2冊しかないや。
なので、単純に「ふーん、あの本ってこういう内容だったのか」というのが判って楽しめた。『大河の一滴』っててっきり小説なのかと勘違いしてたよ! 『チーズはどこへ消えた?』と、便乗本『バターはどこへ溶けた?』の違いも初めて知った。一生読むことはないだろうと思ってた『冷静と情熱のあいだRosso/Blu』なんて、批評が面白すぎて逆に読みたくなったw

それと、個人的に、「この手の本をわざわざ買う人って何を求めてるんだろう?」と不思議に思っていた、人生訓やビジネス書の類(本書で挙げられているのだと『光に向かって100の花束』『生きかた上手』『金持ち父さん、貧乏父さん』とか)が何故売れているのか、ということも理解できてよかった。「心が温まる」「あやかりたい」「この本を参考にして今の状況から抜け出したい」などと考える人が多いのですね。なるほどー。

ベストセラーを買う人像の考察も興味深い。私は「売れてるものに即飛びつく人」なのかと思ってたのだけど、本書によると、「泣け」と言われればきちんと泣き、「感動しろ」と言われれば素直に感動する「善良な読者」がベストセラーの主な購買層なのではないか、とのこと。ふーむ、そう考えると、「泣きながら一気に読みました」とかいう柴咲コウの推薦文が帯にくっついた"セカチュー"があれだけ売れた理由も理解できるなぁ。


各ベストセラーをズバズバと斬っていく語り口は小気味よく、痛快そのもの。よくありがちな「この本を読んで私も頑張ろうと思いました」的な読者の感想も、情け容赦なく「我田引水」「誤読・曲読・歪読」と言われてしまうので、反感を覚える人もいるかも。逆に、「ベストセラーなんて読みたくねーや」と思ってるような人には超おすすめ。私みたいに。でも、その手の人に対しても、

自分が「あんな大衆食堂のメシなど食いたくない」「食わなくてもわかる」とうそぶく嫌味たらしい美食家と同類であることを、少しは自覚したらいいのである。

と手厳しいけどね。