『比類なきジーヴス』(67/100)

本の雑誌』のバックナンバーで、「面白い」とあったので手に取ってみた。いやー、これほんと面白いよ! 読了日は7/11。

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

舞台は1920年頃のイギリス。人がよく呑気な貴族(?)のぼんぼん・バーティーと、彼に忠実に仕え、何でも完璧にこなすスーパー執事・ジーヴス。そこにバーティーの親友で、出会った女性全てに恋をしてしまうビンゴ、揃いも揃っておバカな友人たち、お節介焼きのアガサ叔母さんらが絡み、次々にトラブルが起こるというユーモア小説。
1話ごとに完結してはいるけれど、全体がゆるやかに繋がっているという連作短編集で、どの話も基本パターンはほぼ一緒。ビンゴまたはアガサ叔母さんまたはその他の人のせいでで困った事態に直面したバーティーが、「ジーヴス、助けて!」と泣きつき、ジーヴスがスマートかつ飄々と解決。全編その繰り返しだけど、バーティーの語り口調が実にユーモアに富んでいて、くすくす笑いながら飽きずに読める。
バーティージーヴスの関係は、なんかドラえもんのび太みたいだと思ったけど、バーティーは親友の無茶な頼みを聞いたりしちゃうし、自分が賢くないことを自覚してるし(でもイートン校→オックスフォード卒ならそれなりに教養があるのでは)、のび太よりは性格がいいかも。ジーヴスはジーヴスで、上手くバーティーの手綱を取りながら仕えてる感じなのが愉快。
時折2人が冷戦状態に陥る理由が、バーティージーヴスの忠告を無視して、真っ赤なカマーバンドや紫の靴下といった悪趣味な装身具を身に付けたがるから、というのも笑える。
ラストのオチに驚いた。それと、ジーヴスの淹れる香り高い朝の目覚めの紅茶、私も飲みたいなぁ。


訳者あとがきにあったけど、ヒュー・グラントがバーティーを演ったら似合いそうだ(今のヒューじゃ歳取り過ぎか)。で、この作品はテレビドラマ化されていて、スティーヴン・フライジーヴスを演じたんだとか。うわー、ぴったりだ!
ウッドハウスはイギリスでは国民的な作家だそうで、彼の作品を知っていれば、モンティ・パイソンももっと楽しめるとのこと。確かに、読み終わった後パイソンズを観たくなる感じ。
古きよき英国好き、執事好き、パイソンズ好きの方には超おすすめ。シリーズ化されてるので、おいおい読んでいく予定。