『震度0』(76/100)

図書館で何ヵ月も予約してたのがまとめて来ちゃった本・その3。読了日は8/17。

震度0

震度0

阪神・淡路大震災が起きた朝、N県警の警務課長・不破が行方不明になった。県警幹部は失踪事件を内々に調査しようとするが、おのおのの思惑が絡み合い、情報戦や権力争いが勃発する。同時に、県警内での信頼が厚く、職務に忠実だった不破のプライベートの姿を誰も知らなかったことに気付く。やがて、事件は意外な展開に……。


横山秀夫お得意の警察小説だけど、読了後真っ先に思ったのは、
ケ ー サ ツ っ て や だ な 。
ということだった(警察関係の方には非常に失礼な物言いだけど……)。
主題は県警内部のドロドロした人間関係なんだけど、キャリア組とノンキャリア組の対立、保身、出世欲や権力欲などがこれでもかこれでもかと書かれていて、読んでいてゲンナリした。
失踪事件を内々に調査しようとする幹部5人が、

  • 虚勢を張りたがるけど能力のない椎野本部長
  • エリートぶりを鼻にかける冬木警務部長
  • 叩き上げの強烈なプライドを持つ藤巻刑事部
  • 巨デブで世渡りの上手い間宮交通安全部長
  • 無口で何を考えてるか判らないけど……の倉本生活安全部長

と、揃いも揃って強烈。で、うっかり賄賂を受け取っちゃったとか、天下り先のポストがなくなると困るとか、過去にある密約を交わしあったとか、それぞれに後ろ暗い部分を抱えていたりする。そういう脂っこいオヤジどもが、自らの利益や保身のために口角泡飛ばして怒鳴りあったりしてて、緊迫感というより、もうげっぷが出そうだった。
加えて、彼らは全員N県警幹部公舎に住んでおり、妻同士も牽制しあったり探りを入れあったりしてて、「社宅とかってこんな感じなんだろうか」と思うと、もーうっとうしいことこの上なかった。……要するに、感情移入できない登場人物たちがあーだこーだやってるのを読むのはキツい、ってことだな。


それと、阪神大震災を絡ませる必要性があったのかな?と疑問。700km離れた神戸で災害が起きてるのにもかかわらず、自らの保身に汲々とする県警幹部のおろかさを皮肉るため? そのことを語らせる役として、警備部長で準キャリアの堀川が存在するんだろうけど……それほど効果的ではないような気がする。
失踪した不破は本当はどういう人物だったのか?ってことや、過去の事件が明るみになっていく過程は面白かったし、ページを繰る手を止めさせないのは、さすが横山秀夫。でも、この本はあんまり好きじゃないなぁ。