オリーブ好きにはたまらん(15/100)

一昨日は雪がしんしんと降っていて外に出られず、読書が進む進む。おかげで、間に『スポーツドクター』を挟みつつちびちび読んでいた分厚い本も昨日読了。

オリーヴ讃歌

オリーヴ讃歌

南仏プロヴァンスに土地を購入したアメリカ人ジャーナリストが、枯れかけたオリーブの木を頑張って蘇生させ、自家製のオリーブオイルを味わったことで、熱狂的なオリーブ党に。で、好きが高じて書いたのが本書。
ひとことで言うなら「オリーブヲタの本」って感じで、オリーブの歴史、芸術作品とのかかわり、オリーブオイルの効能、オリーブを使った料理レシピ、オリーブ石けんの製造方法などなど、オリーブに関する知識がぎっしり。
さらにプロヴァンスパレスチナイスラエル、アンダルシア、トスカーナチュニジアなどの地中海沿岸からメキシコに至るまで世界各地を巡り、各地のオリーブ栽培の実態や採油方法の違い、オリーブ絡みの伝統行事や社会問題などを丹念に取材していて、とても面白い。


個人的にはテーブルオリーブ(漬けてあるオリーブの実)が特に好きなのに、オリーブオイルに比べると記述が少ないな〜と思っていたら、モロッコの章でかなり出てきた。あー、マラケシュの市場でいろんな種類のテーブルオリーブを買い込んでみたい。ギリシャで、本場のカラマタ・オリーブも食べてみたい。
そして、オリーブオイルにも産地による味の違いがあるようで(農作物なんだから当然だけど)、例えばトスカーナ産のは胡椒みたいなピリッとした苦みが、リグーリア産のはバターを思わせる甘さが感じられるんだとか。あー、味わい比べてみたい(←こればっか)。
ショックだったのが、少量のオリーブオイルを大量の菜種油と混ぜたものを、「エクストラヴァージンオリーブオイル」と偽って売っている例が結構あるらしいということ。……今うちで使ってる、カルディで買った750ml1200円のオリーブオイル。ラベルの裏には「イタリア中部の町××で伝統の製法を守り……」とか書かれてるけど、これにも混ぜもんがしてあるのかなぁ。香りはそんなにしないし。……と、ちょっと落ち込んでしまった。


とにかく、私みたいなオリーブ好きにはこたえられない内容だった。図書館で借りたけど、これは手元に置いておきたいタイプの本なので買うぞ。でも現在、版元で品切れ状態なのが残念(食文化本の棚では結構見かけるけど)。できれば文庫化してくれたら嬉しいな。