モダンガール百態(18/100)

昨日の朝、ぴあで3時間並んでる間に読んだりしてたので、思ったよりも早く読了。でもTPOに合わないというか、並びながら読むようなタイプの本ではなかったなー。

モダンガールの誘惑 (モダン都市文学)

モダンガールの誘惑 (モダン都市文学)

モダンガールが登場する短編小説や戯曲、エッセイを集めた1冊。モボモガ華やかなりし大正後期〜昭和初期に書かれた作品がほとんど。


特に、粘着クレーマーオヤジがバスガールにぎゃふんと言わされる(←死語)のが痛快な『青バスの女』(辰野九紫)、同じ職場の女性に憧れる薄幸な少女を描いた『ヒヤシンス』(吉屋信子)、お金持ちのお嬢さまとモンゴル育ちの豪快な女の子の間で小心男が揺れ動く『心理の谷』(久生十蘭)が気に入った。


銀座が出てくる作品が多くて、やっぱりモガと銀座とは切っても切れないものなんだな〜と思った。モダンガールを集めた『尖端少女座談会』でも、「淋しいと銀座を歩く」とか「毎日ただ(銀座を)歩いているだけです」って発言があったりするし、ギャルが意味もなく渋谷にたまってるのと同じようなもんなんだろうか。でもこの座談会、「オレって業界人だぜ」風を吹かせた中村進治郎(一応作家らしい)が、女性たちにねちねちとセクハラまがいのツッコミを入れてるのが気持ち悪いぞ。


あと、モダンガールに対する世間の非難を「自分はとっくに日本着を洋服に鞍替えして居る時に、婦人の洋服だけを眼の敵にするところに、男子の論理がある。」と斬り捨てた、清沢冽の『モダン・ガール』論。大正時代にこんな先端的な考え方をしている人がいたんだ、とびっくり。あの時代の男性というと、97%はジョヒ男なのかと思ってたので。「こいねがうところは、この新しい婦人の傾向が、健全なる方向に向うべきことである。(中略)婦人の覚醒に同情するわれ等の心から希願するところである。強く、賢こくあれ。」という一文が素敵だ。