『この駅名に問題あり』(46/100)

読了日は5/4。

この駅名に問題あり

この駅名に問題あり

所在地名との間にズレがある(例:上目黒にある中目黒駅)、今は移転した施設名を冠している(例:学芸大学駅)、地名と何の関係もないイメージ重視の平仮名混じり(例:みどりの駅)など、首都圏のおかしな駅名に対して、その由来や所在地の歴史などを交えながらツッコミを入れている本。
参考資料として古地図が多く使われていて、「鉄」ではないけれど地図好き・地名の由来好きの私には、なかなか楽しめた。都立家政駅大泉学園駅の由来、品川駅より南に北品川駅がある理由など、長年の疑問も解消してすっきり。どんどん拡大していく新宿駅や、あちこち移動する横浜駅の成り立ちも、非常に興味深かった。


著者は、歴史ある地名が抽象的・無機的な地名に置き換えられていく風潮に警鐘を鳴らしていて、その辺は個人的には同意。みらい平はるひ野などといった「いかにも」な駅名だけでなく、平成の大合併で新しくできた市名でも、「何だかなぁ」「難読でもないのに、なんで平仮名表記にしちゃうんだろう」と思うことも多いし。
ただ、駅名に関する「安易に『新』や東西南北などをつけるな」「後からつけられたおかしな地名(←著者基準)は使うな」「由緒ある地名を駅名にしろ」という主張に対しては、必ずしも頷けない部分もあるなーと……。
例えば、「三郷という地名は、戦後、人為的につけられたものだから、将来に残すべきではない。駅名も所在地の旧大字を冠したものに変えるべき」とか(この手の主張が本書には本当に多い)。今頃になって旧大字名を駅名にしたら、かえって判りにくいんじゃないかと思うけどなぁ。それと「東浦和駅は、旧・浦和市の中心部から4.5kmも離れてるのに『浦和』を名乗るな」とか。浦和市内だったんだから別にいいじゃん、と感じてしまうのは、私だけだろうか。
著者の熱意はすごく判るのだけど、文章が攻撃的なせいもあって、読んでいてちょっと辟易させられたというのが正直なところ。重箱の隅をつつくような駅名の粗探しも、読み続けていると飽きが来た。


そうそう、前述の東浦和駅をはじめ「浦和」を冠した8つの駅も、旧・浦和市の歴史紹介とともにツッコミを入れられているけれど、旧・浦和市のことをかなりボロクソに書いているので、アンチ浦和の人は煽りネタ用に一読してみてもいいかもw
それと、本書は図書館で借りたのだけど、著者の主張に対する反論(?)や補足がボールペンで書き込みされていて萎えた。公共の本に書き込みしちゃダメだっつーの。