『スコットランド「ケルト」紀行 ヘブリディーズ諸島を歩く』(55/100)

ケルト文化にはそれほど興味がなく、妖精とか精霊とかエンヤくらいしか思い浮かばない私だけど、ケルト文化が残る地を旅するこのシリーズは、書店や図書館の紀行本の棚で結構見かけるので気になっていた。現在7冊出ているので、毎月1冊ずつ読んでいこうと思う。
第1弾はこれ。

スコットランドの西側、大西洋に浮かぶ外ヘブリディーズ諸島*1と内ヘブリディーズ諸島*2、そしてアラン島と本土のキンタイア半島を1ヵ月かけて巡り、各地に残るケルト文化を追った紀行文。
アイラ島モルトウイスキーで有名だけど、その他の島々は日本人には馴染みが薄い場所ばかり。そんな「知られざる土地」の紀行文は、それだけで興味津々。
口絵のカラー写真は、荒涼とした丘に石造りの古い家がポツンと建ってるだけ(もしくは毛むくじゃらの牛が寝てるだけ)とか、冷たそうな海と険しい崖と滝、以上。みたいな「いかにもスコットランド」っぽい風景が満載。


駆け足気味の旅ではあるものの、ひとつの島に滞在するごとに昔の農家やストーンサークル、宗教事情、民族事情、スコットランドの偉人フローラ・マクドナルドの伝説、ゲール語、ケイリー(ゲール音楽のミニコンサート)など、ヘブリディーズのケルト文化が少しずつ紹介される構成で、とても興味深かった。
個人的に面白いな〜と思ったのは、ヘブリディーズ諸島は8世紀頃に襲来したバイキングの影響を強く受けており、お隣のアイルランドと比べるとケルト色薄め・北欧度高めで、建造物の一部に古いノルウェーの様式が見られるということ。そして、今でもノルウェーに愛着を持つ島民が多く、フランスW杯でスコットランドvs.ノルウェーの対戦があった時は、複雑な反応を示す人が多かったのだそう。そして山間部では、17世紀頃までノルウェー語が使われていた地域があり、特に北部のルイス島辺りでは、長身・金髪の、見るからにスカンジナビア系っぽい外見の人を結構見かけるんだとか。
それと、「マクドナルド」という姓は、ゲール語で「ドナルドの子孫」という意味で、そのルーツはヘブリディーズなんだそう。スカイ島に「クラン・ドナルド・ヴィジター・センター」という、全世界のマクドナルドさんの総本山みたいなスポットがあって、海外から訪ねてくるマクドナルドさんも少なくないらしい。ほう。


1冊目からとても面白かったので、シリーズを読んでいくのが楽しみ。

*1:ルイス島・ハリス島・ノース・ユイスト島、サウス・ユイスト島、バラ島

*2:スカイ島、マル島、アイラ島