『イタリアの地方菓子』(71/100)

イタリア料理や食の本はいろいろ読んできたけど、お菓子・ドルチェに焦点を絞った本って意外とない気がする。読了日は7/22。

イタリアの地方菓子

イタリアの地方菓子

栗の粉を練って焼いたカスタニャッチョ、ナッツやレーズンがぎっしり詰まったソーセージ型のパイ・プレスニッツ、ハチミツに漬けた揚げ菓子・カルテッラーテなど、イタリア各地の地方色豊かなお菓子63品を紹介した本。日本ではメジャーなティラミスやパンナコッタも、もとは地方菓子だったとは知らなかった!*1
北部、中部、南部の州ごと(イタリア20州のうち登場しない州はわずか3つ)にお菓子を分類、ひとつのお菓子につき見開き2ページ分を割き、発祥や歴史、使用する素材、作り方、味などについて丁寧に解説。専門誌『料理王国』の連載を書籍化したものだけあって、読み応え充分。写真もそれほど大きくはないけれど綺麗で、食文化的な内容を求めてる人も、お菓子好きって人も、どちらも満足できそう。


じっくり読んでいくと、北部にはドイツやハンガリー発祥のお菓子があったり、南部ではリコッタチーズを使ったお菓子が多かったりと、地方による違いがはっきりしていて興味深い。でも、日本人の目から見ると、全体的にナッツや洋酒やハチミツをたっぷり使って焼き上げた、素朴だけど重厚そうなお菓子が多いな〜という印象。ぶっちゃけ、すんごく甘くてカロリーが高そうなものばかり。未知のお菓子が沢山出てきて面白かったけれど、食べてみたいと思ったのはレモンをたっぷり使ったシチリア氷菓・グラニータくらいだった。
特に、蒸し暑〜い等々力の待機列で時間潰しに読んでた時は、「生地をたっぷりのオリーブオイルで揚げた後、温めたハチミツを充分に染み込ませる」みたいなこってり感あふれる記述に、ちょっとげんなりしてしまった(苦笑)。甘いお菓子が美味しく感じられる秋冬に読んだ方がよかったかも。

*1:ティラミス=ヴェネト州トレヴィーゾ、パンナコッタ=ピエモンテ州ランゲ地方