『下山事件 最後の証言』(78/100)

ためにためまくって10冊以上になっちゃってる、はてな年間100冊読書のエントリ。ほんとに帳尻合わせられるんだろうか……そのうち、感想抜きでタイトルだけを貼り付けることになるかも。

本書の読了日は8/28で、2ヵ月も前だったりする(汗)。

下山事件―最後の証言

下山事件―最後の証言

昭和24年。国鉄総裁・下山定則が、日本橋三越本店で運転手を残したまま失踪。翌日未明、常磐線の北千住‐綾瀬駅間の線路上で轢死体となって発見される事件が起きた。自殺か他殺か、それとも事故なのか。警察内でも意見は分かれ、事件は迷宮入りしたまま時は流れた。
平成3年。フリーライターの著者は、祖父・柴田宏の法事の席で、大叔母・寿恵子の衝撃の告白を受ける。「下山事件をやったのはね、もしかしたら、兄さん(=柴田宏)かもしれない……」。この言葉をきっかけに下山事件の全貌を調べ始めた著者は、祖父が在籍していた謎の組織「亜細亜産業」が事件に深くかかわっていることを知る。


うーん、これはすごいドキュメンタリーだなぁ……。「力作」って言葉がふさわしい。
戦後の混乱期に起きた怪事件にのめり込み、膨大な資料や関係者の証言をもとに導き出した著者なりの真実。大叔母や母らの証言から浮かび上がってくる、著者の知らなかった祖父の裏の顔。
それらが明らかにされていく過程は非常にスリリングで、ドキドキしながら読み進めてしまった。ミステリ小説っぽくもあり、国鉄の大量解雇、汚職などや有名政治家の暗躍が絡んだ「黒い昭和史」的な面もあり、祖父や家族の知られざる足跡を辿っていく私小説の要素もあるという、1冊で何粒も美味しい本という感じ。それと「鉄」な人も興味深く読めるんじゃないかと思う。
ただ、GHQだのG2だのCIAだのCICだのナントカ機関だのと、怪しげなことをやってる(ように一般人には見える)組織が山ほど登場し、それぞれがどういう関係なのか混乱してしまうことがしばしばあった。メモを取りながら読めばよかったかも。それと、終章でいきなりポエムっぽくなってしまうのがちょっと気になった。