『スペイン「ケルト」紀行 ガリシア地方を歩く』(64/100)
「ケルト」紀行シリーズ第2弾。第1弾のヘブリディーズ諸島(id:RINRIN:20060531#p1)に続いて、日本人にとってはマイナーな地の紀行文を読めるのは嬉しい。読了日は7/2。
- 作者: 武部好伸
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2000/05/01
- メディア: 単行本
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スペイン北西部、大西洋に面したガリシア地方の4県(オウレンセ、ルーゴ、ア・コルーニャ、ポンテヴェドラ)を回った記録。ちなみに、私の中のガリシア地方のイメージは、タコ料理*1とリーガ・エスパニョーラのデポルティボ・ラコルーニャ*2。ケルト文化圏のひとつだったとは、本書を読むまで知らなかった。
丸や四角の石垣がうねうねと連なる古代ケルト人の遺跡、巡礼地として名高いサンティアゴ・デ・コンポステーラなど興味深いスポットがあれこれ登場するけれど、一番印象的だったのは、ア・コルーニャ県にあるスペイン西端の地・フィニステレ。ケルト人は西へ西へと向かう傾向があって、「最果ての地」という意味を持つこの地は、「この海の向こうに異界がある」と考えられていたんだそうな。それと、バグパイプに似た「ガイタ」という楽器は知らなかったな。
ただ、ヘブリディーズ諸島がバイキングの侵略を受けてスカンジナビア色に染まってしまったように、ガリシアもローマ人の侵入によって、ケルト文化が薄まってしまった部分があるんだそう。ケルト文化が色濃く残っているというより、根底にひっそりと流れている感じで、「ラテンの鎧を着たケルト」という表現がしっくりくるらしい。
加えて、隣接するポルトガルとの類似点がとても多いのだという。ガリシア語はもともとポルトガル語と同一の言葉だったとか(ケルト語ではない)、ガリシア人は控えめで内向的で、ポルトガル人に近い気質だってこととか。そして、ポルトガル人独特の心情「サウダーデ」*3を、ガリシア人も持っているんだそうだ。……こういう事実って、やっぱり面白いな〜と思う。
次回はブルターニュ編を読む予定(というか、実は昨日読み終わった)。